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数次相続の落とし穴と正しい相続設計の考え方
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投稿日: 2026/02/14(土)
■ はじめに
母と兄を相次いで亡くし、『相続人は自分ひとりだから税金は安くなる』と考えるケースは少なくありません。しかし、相続は“亡くなった瞬間”に発生するため、後から相続人を変更することはできません。本記事では、数次相続の仕組みと税務上の注意点をわかりやすく解説します。
1. 数次相続とは何か
数次相続とは、相続手続きが完了する前に相続人が死亡し、相続が連続して発生することをいいます。本件では、母の死亡(第1次相続)の後、兄が死亡(第2次相続)したため、税務上は相続が2回発生します。
2. なぜ相続税が2回発生するのか
税務上は『権利を取得したかどうか』が重要です。母の死亡時点で兄は法定相続分の権利を取得しています。その権利は兄の財産となり、兄の死亡時に再び相続財産となります。
3. 相続税2割加算の仕組み
兄弟が相続する場合、相続税は2割加算の対象となります。配偶者や子ではないため、税額に20%が上乗せされます。
4. 小規模宅地等の特例の重要性
居住用宅地について一定の要件を満たすと、土地評価額を最大80%減額できる特例です。母と兄が実質同居であった場合、この特例を適用できる可能性があります。評価額が下がれば、結果として2回目の相続の基礎となる財産も圧縮されます。
5. 実務上の注意点
・母の相続と兄の相続を明確に分けて整理する
・相続関係説明図で2つの相続を明示する
・2割加算を前提に、課税価格そのものを下げる工夫をする
・生活実態を証明できる資料(公共料金明細等)を保存する
6. まとめ
数次相続では『ひとりで相続すれば得』という考えは通用しません。重要なのは、単発で考えるのではなく『全体で最小化する設計』です。特例の適用可否を丁寧に検討することで、税負担は大きく変わります。
